吉田です。
しばらくご無沙汰しておりました。
気候も暖かくなり、インフルエンザなども一段落し、いい季節になりましたね。
とはいえ、もう少しでまた暑い夏です。
夏となれば、とびひ、ヘルパンギーナ、プール熱など夏特有の病気は流行する季節でもあります。
今回は『夏に流行る病気に備えましょう!』ということで、何人かの先生にお願いし、夏特有の病気について語っていただくよう企画しました。
まずは、私、吉田が『とびひ(伝染性膿痂疹)』を語ります。
とびひは、汗をかきやすく不潔になりやすい、あせもや虫刺されが増える、高温多湿で菌が増殖しやすい、といった理由で・・・夏に、乳幼児に好発する病気で、
黄色ブドウ球菌(食中毒や皮膚の化膿を起こす菌)や
連鎖球菌(主に溶連菌ですね)の感染が主な原因です。
古い情報で申し訳ありませんが、全体の80%の患者が5歳以下で、季節は7~9月に圧倒的に多いとの報告があります。
原因菌は皮膚表面の固い層(角層)の下に感染を起こし、赤くなったり、水ぶくれをつくったり、かさぶたができたりします。
詳しく言えば、病型により水疱形成(水ぶくれ)が中心となる
水疱性伝染性膿痂疹と痂皮形成(かさぶた)が中心となる
痂皮性伝染性膿痂疹があります。
水疱性伝染性膿痂疹は主に黄色ブドウ球菌が、また痂皮性伝染性膿痂疹は連鎖球菌が主な原因となります。
どちらも最終的には痂皮化しますが・・・。
ちょっと難しくなりスミマセン!
それらのうちで季節性が比較的明確で、施設内で流行しやすいのは水疱性伝染性膿痂疹です。
水疱性伝染性膿痂疹
とびひは「飛び火」と書くように、体のいろいろなところへ飛んで病変をつくります。つまりうつりやすいということですね。
ですから、患者はよく手を洗い、患者の使ったタオルなどは共用しないなどの注意が必要です。
治療はセフェム系抗生剤の内服が最も推奨されますが、詳しくは主治医とご相談ください。
とびひはうつりやすいということもさることながら、腎炎などの合併症の可能性もあり、侮れません。しっかり治療しましょう。
また、とびひの親戚菌にはブドウ球菌性皮膚熱傷様症候群(SSSS)といったものもあります。これはちょっと危険な病気ですね。とびひの原因となるブドウ球菌が産生する毒素により皮膚がまるで火傷のようにズル剥けになってしまう病気で早期治療が必要です。
ではどうしたらこの病気を予防できるのでしょうか?
黄色ブドウ球菌にしろ、連鎖球菌にしろ、これらの菌は我々の周囲に普通にいます。ですから菌からお子さんを隔離することはできません。次善の一手は皮膚にばい菌を定着させないことです。
それには・・・
もうご存知ですね!
手を清潔に保つことです。手洗いをがんばりましょう!
また、健康な皮膚は通常、これらのばい菌がくっつきにくい状態になっています。
では皮膚を健康に保つにはどうするか・・・?
スキンケアです。汗をかいたらシャワーできれいにする、カサカサしたら保湿するなどなど。かゆみのある場合、早めにかゆみへの対応をおこない、かき崩すことのないようにする、こんな注意が感染に対する防波堤となる皮膚の角層を保護することになります。
また、前に述べました角層の弱い子、たとえばアトピーをお持ちのお子さんなどは特にかかりやすいため要注意です。
家族全員、感染症に十分注意し、この夏を楽しみましょう。
YICNet 小児科医 吉田