改変再投稿です。
皆さんいかがお過ごしでしょうか?
ノロウイルス感染を含む、下痢、嘔吐などの胃腸炎症状を訴え受診される患者さんが未だ多くいらっしゃいます。
適切な対策、対応をお願い致します。
ノロウイルス感染症は、
1. 汚染されていた二枚貝を生あるいは十分に加熱調理せずに食べる。
2. 食品調理者(家庭内あるいは飲食店など)が感染している場合にその人の手を介して汚染された食物を食べる。
3. 感染者の糞便や吐物に手を触れてしまい、その手を口に持って行ってしまって感染したり、吐物から舞い上がった、目に見えない小さなしぶきに含まれるウイルスを吸入して感染する。
この3経路がノロウイルスの主な感染経路です。
感染してから発症までの潜伏期間は1~2日程度で、最初に吐き気・嘔吐が起こり、その後に腹痛、下痢、頭痛や筋肉痛などの全身の症状が続きます。半分くらいの患者で発熱もみられます。
通常は特別な治療なしに2~3日で症状は軽快します。
ノロウイルスは感染性胃腸炎を起こす病原体の中でも特に感染力が高く、集団発生が起きたり、家族内で感染が拡がったりする危険が高いと考えられます。
「家庭で出来るノロ対策」ですが、(少しでも参考になれば幸いです)
「準備するもの」とその用途です。
(★★★最重要グッズ ★★重要グッズ ★便利グッズ)
「(薬用)ハンドソープ」★★★
固形のものでなく、プッシュボトルタイプでお願いします。
こまめな流水による手洗いで、物理的にウイルスを除去しましょう。とにかく、時間をかけしっかり手洗いを!
注意!台所では手洗いしないようにして下さい!
「マスク」★★★
汚物(嘔吐物・便)の処理をするときには必ずしてください。
その他、公衆トイレに入る時など。
「ハイター、キッチンハイター(塩素系)」★★★
いちばん手に入れやすく安価です。
ノロは、アルコールでは効果がありません。主成分が次亜塩素酸ナトリウムでの消毒をお願いします。必ず塩素系のものを!
注意!同じような名前の商品にワイドハイターと言うものがありますが、これは塩素系ではないので×。
「ペットボトル」★
ハイターの調製に便利!
【調製方法】
●洗濯、食器類、便座などには次亜塩素酸ナトリウム200ppm濃度に!
200ppm濃度:500mLボトル=ボトルキャップ半分のハイター+水
例)500mLペットボトルに半分くらい水を入れ、ペットボトルのキャップ半分くらいのハイターをいれ、ボトルいっぱいに水を加え、キャップをしてふりまぜるとできる。
200ppm濃度:1リットルボトル=ボトルキャップ1杯のハイター+水
200ppm濃度:2リットルボトル=ボトルキャップ2杯のハイター+水
●汚物(嘔吐物・便)の直接処理には次亜塩素酸ナトリウム濃度1000ppmに!
1000ppm濃度:500mLボトル=ボトルキャップ2杯分のハイター+水
1000ppm濃度:1リットルボトル=ボトルキャップ4杯のハイター+水
1000ppm濃度:2リットルボトル=ボトルキャップ8杯のハイター+水
「85℃以上の熱湯」★★★
ハイターは金属を腐食、色付きの衣類を脱色といった使いにくいことも多くあります。
85℃以上の熱湯を1分でノロに効果があります。
衣類、食器などに利用出来ます。
「ビニール手袋」★★
汚物(嘔吐物・便)の処理をするときに!手袋をして外した後も必ず手洗いを!
「使い捨てのガウン・白いエプロン」★★
使い捨てではない場合は、1000ppmハイター、または85℃以上の熱湯での浸け置き後、洗濯して下さい。
「スチーム付きアイロン」★
色落ちしやすい廃棄が難しい絨毯、床、布団には、スチーム1分以上、広範囲に吹きかけて下さい。
ただし、こげに注意!
「バケツ・たらい」★
汚物がついた衣類などの、ハイター、または85℃以上の熱湯での浸け置き消毒に!
「洗面器」★
吐き散し防止に!飛び散らないようにテッシュペーパーなどをその中に敷いておくといいですよ。
「キッチンペーパー」★
使い回すタオルはウイルスの汚染が懸念されます。タオルがわりに!ふき取りに!
「新聞紙」★★
汚物(嘔吐物・便)のふき取り、包装?に!「ゆっくりと包み込むように・・・がポイント!」
「紙おむつ・ペットシート」★
おむつをしている乳幼児は処理しやすい紙おむつが便利。吸水性があるので吐物処理にも使えます。
「白い肌着」★
着替えに!ハイターで色落ちしないので。
「ビニール袋」★★
買い物用袋がベスト!汚物(嘔吐物・便・おむつ)入れに!できれば1000ppmハイターを入れてすぐ縛って下さい。
上記は一例です。
100円均一などで安いものを購入し、とにかく捨てても良いようなものをそろえておくのもよいでしょう。
「ORS:Oral Rehydration Salt:経口補水塩」★★
すなわち、飲む点滴です。
ノロウイルス感染性胃腸炎は、ウイルスが原因なので抗生物質は効きませんし、治療が必要になることはありません。基本的には水分、塩分、糖分を補給して脱水状態になることを防ぎながら自然に治るのを待つ病気です。ORSは、こういった下痢、嘔吐を伴う食中毒などの脱水を伴う疾患などの水分補給が必要な疾患に使えます。熱中症対策にもオススメです。
【ORSの作り方】
水1Lに、食塩2~3g(小さじ1/2)と砂糖20~40g(大さじ41/2)とを加えて出来上がり。
これに、果汁(レモン汁、グレープフルーツをしぼる)や、無塩のトマトジュースを加えた水にすることで、カリウムも含むORSにも!←これマジうまいです。つくってみて下さい。
その他のポイントとして・・・
・ 汚物は、飛び散らないようにゆっくり包み込むようにふき取る!
・ 便座カバーははずす!
・ 乳・幼児が居る家庭は、絨毯等の敷物をはずす!
・ 爪を切る!
・ 適切な換気を行う!
・ 下痢止めの薬は使わない!
・ 休む!
・ 水が飲めないほどひどい嘔吐が続く、下痢が3日間以上続く、尿の回数・量が目立って減る、立ち上がった時にふらつくなどの脱水症状がある、ぐったりした感じが強い、持病や治療薬の影響で免疫力が低下している、腎臓病など内臓の大きな病気を持病に持っている、などの時は病院へ!
などなど。
また、上記以外でもいろんな対策はあると思います。中には、より簡便で、安価で・・・といったお役立ち情報や、よかれと思っていてもまちがった対策もあるかと思います。
参考まで。
YIC-Net 広報 崎本