師走を迎え、何かとせわしない時期にもかかわらず、例年にない状況:インフルエンザの早期流行拡大にて医療現場はもとより保・幼稚園、学校、老健施設などのスタッフの皆さんは多忙な日々かを思いますが・・・
厚生労働省や国立感染症研究所から『ノロウイルスが10年ぶりに猛威 調理と食事前の手洗いの徹底を!』とのお達しが!!
今年も感染症発生動向調査(週報)は10月前半まで全国1万人程度でしたが、10月中頃から増加し始め、11月14日~:46週には4万人、11月28日~:48週には約5万5千人を超えてしまいました。ここ10年間では平成18年、24年に次ぐ数字です。
例年年末にかけて増加する流行性胃腸炎:ノロウイルスですので警戒が必要です。
※この数字は北海道感染症情報センター『感染症発生動向調査(週報)』を基に作成:
さて、今回の大流行の原因は??
国立感染症研究所によれば・・・・・:・・・・
ノロウイルスには約30種類ぐらいの遺伝子型があり、一般的な流行では、GⅡ‐4型が多いのですが、昨年末~今年4月頃まで流行したのが“新型ノロウイルス GⅡ‐17。
そして、今回のノロウイルスは《GⅡ‐2型》:平成21~23年ごろに流行した型が突然、数年ぶりに現れた《復活型:正式名ではありません》が猛威を振るっています。
下図は国立感染症研究所発表の2015~近々までの月別ノロウイルス遺伝子検出グラフです。
※詳細は国立感染症研究所:http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/na/norovirus.html 参照を!
ウイルスに感染すると、感染した人間はウイルスに対する免疫(抗体)を獲得します。もちろんノロウイルス感染の際にも免疫産生が起こり、次回の感染に備える事が出来ます。しかしノロウイルスの場合には、免疫産生が弱く、また免疫獲得の持続期間は多くの文献によれば数か月から長くても1年程度です。
過去にノロウイルスにかかった場合、同じ遺伝子型のノロウイルスに再感染した場合には、免疫があるため発症しないか、あるいは早期に治癒します。しかし、一昨年や今年のように遺伝子型が異なるノロウイルスが流行した場合や、GⅡ‐4型のように数年間隔でvariant(バリアント)株といわれる遺伝子変異株の出現があるため、感染の拡大が起こるようです。
保健所等からの呼びかけにより、町内会や子供会などの餅つき大会が自粛?などの報道がありますが、
・ノロウイルスは85℃1分で死滅しますので、蒸したもち米からは感染しません。
・0.02%次亜塩素酸Na等での消毒をしっかり行いましょう。
・食事や調理、トイレの後はきちんと手洗いです。そして手袋等を着用して調理しましょう。
正しい知識の実践で、日本の伝統的文化《餅つき》は楽しいものとなるのではないでしょうか。
感染対策は医療現場や高齢者施設だけでおこなうものではありません。人が集まればそこには感染拡大が起こりますので当然のごとく、感染対策が必要となります。
YIC-Netでは、各参加施設内での手洗い講習やノロウイルス対策講習会を支援しています。
また依頼があれば出前にて講習会も行っています。
まずはYIC-Net事務局(八雲総合病院 感染症コントロールセンター)までご一報ください。
YIC-Net & IICLC 今金町国保病院 MT 山田