こんにちわ(^O^)
医師吉田です。
看護師奈良です。
二人併せて・・・で~す!
今回は、水痘(水ぼうそう)と帯状疱疹の関係や最適な予防方法を、ディスカッションを通じて解決してみたいと思います!
吉田:
それでは始めますか!
奈良:
はい先生!
吉田:
ところで、『水痘(水ぼうそう)』と『帯状疱疹』って関係あると思う?
奈良:
私の顔に米粒大のおおきさの凹みが、お茶目に存在しています。オデコの真ん中と、鼻の横に二箇所・・・。物心がついたとき、母にその訳を尋ねたことがあります。「あ~それね!水ぼうそうの跡よ」と、あっさりと言われた記憶が久々に蘇りました。
あれから?年、未だにその凹みは消えてはいません。おまけに、シワの凹みも追加されております。水痘(水ぼうそう)・・・女の敵としてよーく知ってます。
帯状疱疹はピリピリと痛かゆい発疹と、高価な薬を飲むイメージですが・・・。
関係性は無いように思えますが。
吉田:
関係ありありなんです。
子供のころに水痘(水ぼうそう)に罹り、そのウイルスが体の中(神経節)に居続け、高齢になって、あるいは体調が悪くなって免疫力が低くなった場合、静かにしていた隠れウイルスが暴れだした状態、それが帯状疱疹!
すなわち一緒の原因ウイルスなんです。
なので女の敵?は、今でもあなたの体の中にいます。
奈良:
え?そうなんですか・・・。
『水痘(水ぼうそう)』の原因ウイルスは、人から人への感染で、伝播しやすく、空気・飛沫・および水泡液への接触での感染でしたよね。
ウイルスが体の中に入ってもすぐに発疹が出てくるわけではなく、2週間程度かかって体の中で増え、そして発疹が現れます。症状が出る1~2日前からウイルスは体の外へ出ています。そのパワーは強く、集団生活ではすぐに感染が拡がってしまいます。とくに家族同士は、触れ合うことも多く、家族内接触での発症率は90%と報告されています。それに、後でかかった人の方が体の中に入るウイルス量が多くなるため、症状はより強くなるともいわれていますよね。
兄弟姉妹が次々にうつってしまった・・・と、よく聞きますよね(´・_・`)
「発疹の出現1~2日前から水泡が痂皮化するまで感染性がある」といいます。
「水痘(水ぼうそう)の水ぶくれの中の液には、水痘(水ぼうそう)の原因ウイルスが含まれています。かきむしってしまうことで水ぶくれが破れて、そこから他の人に感染してしまいます。ですから、水ぶくれの周囲の赤みが消えていき、黒いかさぶたがしっかりとできるまで登園・登校はできません。」
とも言いますが、
空気感染なので通常のマスクも意味が無いように思えるし、“罹ってない人”は、誰でも罹る可能性があるし防ぎようが無い。おまけに弱って免疫力が無くなれば、“罹ってる人”でも罹る可能性があるし、おまけに隠れウイルスも騒ぎだすって?・・・。どうすれば良いんでしょうか?
吉田:
もちろん「うつらない・うつさない・ひろげない」には
手洗い、マスクは、やはりある程度は効果的です。
水泡をひっかいてしまわないように爪を短く。
登園・登校・就業の基準を守る。などもです。
あとは体調管理です。快食、快眠のススメですか?
でも何と言っても、予防には「水痘(水ぼうそう)ワクチン」でしょう!
日本はまだまだ、ワクチン後進国です。
受けるかどうか個人で判断して、希望者だけが受ける任意接種であり、自己負担です。(一部自治体では助成制度があり、病院によって価格が違う)
でもこのワクチン。接種すると、90%以上の人は水痘(水ぼうそう)に対する免疫ができます。ただ、いったん免疫ができても、10~20%くらいの方はみずぼうそうを発症するといわれています。しかし、この場合でも多くは自然感染した場合の症状に比べて軽くすみ、重い合併症などにかかる危険は低くなります。
また、水痘(水ぼうそう)にかかっている人と接触してから72時間以内にワクチンを接種すると、発症の防止、症状の軽症化が期待できます(阻止率95%)。
水痘(水ぼうそう)の重症化にとくに注意が必要な人は、事前にワクチンの接種をお勧めします。
どういう方が対象かというと、子ども(とくに乳幼児)です。水痘(水ぼうそう)そのものが重症化することはまれですが、肺炎、気管支炎、熱性けいれん、細菌感染症、なかには髄膜炎や脳炎など神経系の病気になることもあるなど、水痘(水ぼうそう)が原因となって起こる別の病気によって入院する例がほとんどです。
最も重症化に注意が必要なのは、0歳児と1歳児です。でも、ワクチンを接種できるのは1歳以上からです。
母親が水痘(水ぼうそう)に罹ってるかどうかでも違いが見られますので、水痘(水ぼうそう)経験の無い未来のお母さんにお勧めします。
水痘(水ぼうそう)子どものうちにかかることがほとんどですが、成人が初めて感染すると、症状が子どもに比べて重いとされています。水痘(水ぼうそう)経験のない全ての方にお勧めします。
水痘(水ぼうそう)経験、すなわち水痘(水ぼうそう)ウイルスに対する抗体が有るか無いかは、最寄りの病院へご相談ください。検査で調べる事が出来ます。
悪性腫瘍(特に化学療法・放射線療法中の白血病)、ネフローゼなどの基礎疾患や、それに対する治療によって免疫抑制状態にある人、寝たきりで長期入院されている高齢者などが水痘(水ぼうそう)に感染すると、重症化しやすく命にかかわります。
免疫機能が低下していると体内に侵入したウイルスをおさえこむ力が弱くなるため、よりウイルスが増えてしまうからです。こういった病気の治療中の方などは、ワクチンを接種する事が出来ない場合があります。事前のワクチン接種をお勧めします。
あと、水痘(水ぼうそう)経験のある方で、免疫力の低下などで隠れウイルスが騒ぎだし、帯状疱疹に罹ってしまった場合です。
水痘(水ぼうそう)と帯状疱疹の原因ウイルスは前談で一緒と言いましたよね。
帯状疱疹の痛みでお困りの方、いらっしゃると思います。
困ったことに、帯状疱疹患者の10%程度が『帯状疱疹後神経痛』という状態になり、発疹自体が治っても長く痛みが続く場合があります。
では、帯状疱疹にならないためには?まずは体調管理で免疫力アップです。とは言っても大変難しい・・・。
効果的なのは、水痘(水ぼうそう)ワクチンです。帯状疱疹の原因である水痘(水ぼうそう)にならないようにすることです。
ではもう水痘(水ぼうそう)に罹ってしまった人はどうするか?
前回お話しした通り、体調管理です。快食、快眠のススメです。
また、アメリカでは60歳以上の方を対象に帯状疱疹ワクチンが用意されています。
おおざっぱに言って、この予防接種をうつと帯状疱疹になるリスクが約半分になると報告されています。
日本ではどうか?日本には帯状疱疹ワクチンとして認可されたものはありません。
しかしながら、じつは日本で認可されている水痘ワクチンはアメリカの帯状疱疹ワクチンとほとんど同等のものです。
繰り返しますが、日本のワクチンを帯状疱疹予防に関して用いることは認められていません。でも帯状疱疹予防に一定の効果はあります。何ともややこやしいですね。
高齢者においても『水痘(水ぼうそう)ワクチン』の接種は認められていますので詳しくはかかりつけの先生にご相談ください。
さらに、妊娠初期に水痘(水ぼうそう)に初めて感染すると、2%の頻度で胎児・新生児に重い障害を起こす可能性があり、妊娠5ヶ月目以降に初めて水痘(水ぼうそう)に感染した妊婦から生まれた赤ちゃんは、帯状疱疹を早期に発症するといわれています。
出産5日前~出産2日後妊婦が水痘(水ぼうそう)を発症すると、抗ウイルス薬で治療が行われないと新生児は生後5~10日頃で水痘(水ぼうそう)を発症し、約30%が死亡するという報告もあります。
しかし、妊娠中はワクチンを接種することができませんので妊娠前までの接種をお勧めします。
水痘(水ぼうそう)は軽い症状ですむ病気と考えられがちですが、まれに重い合併症が起こることがあります。大人や基礎疾患のある子どもがかかると重症になることもありますし、特にリスクの高い免疫力の低下した患者さんはワクチンを打ちたくても打てないこともあります。このような患者さんたちを守るために、みんながワクチンを受けることによって、水痘(水ぼうそう)の流行をなくすことが大切です。周囲で水痘(水ぼうそう)の流行があったときに「うつしてもらえばいい」と考えていませんか?大人になって帯状疱疹による痛みを一生抱える可能性だってあります。
水痘(水ぼうそう)と帯状疱疹は予防できる病気です。自分がかからないのはもちろん、人にうつさないためにもワクチンでしっかりと予防することが重要です。
ん?どうかしましたか?
奈良:
うぅ・・・っ。ワクチンしてれば私の顔はもっと・・・。
YICNet 医師吉田&看護師奈良