<その4> 腸炎ビブリオ
(正式名 : V.parahaemolyticus)
「写真で見るシリーズ」ご無沙汰しすぎて恐縮している佐藤です。
腸炎ビブリオの記事がアップされていましたので、急ですが便乗企画させていただきます。
腸炎ビブリオの顕微鏡写真です。
細菌を染め分ける検査を実施しますと、このようにピンク色に染まった短い菌がみえます。
この写真は、ヒツジの血液を混ぜた寒天培地に発育したものです。
直径は2mm程度で、光沢がある灰色(若干黄色も混じっている)コロニーです。
あと、この菌は生臭いにおいがします。
この写真の培地はビブリオ属だけを発育させる培地で、腸炎ビブリオは青緑色のコロニーとして発育してきます。
~ちょっとマニアックな話~
写真はTCBS培地で、ビブリオ属菌を選択的に発育させるために使用する寒天培地です。特徴としては、pHが8.6前後と普通の寒天培地(7.2~7.4)より高めに設定されていたり、塩分濃度が普通(0.3%)より高め(1%)になっていることで、ほとんどの菌の発育が抑制され、ビブリオ属菌が発育しやすい環境に調整されています。
腸炎ビブリオの動画です。
まるで魚が泳いでいるような感じですね。
この菌は、菌体の一端にある一本の鞭毛を振動させることで推進力を生み出して高速に移動することができます。
この菌の食中毒対策については前回の記事で詳細に書いてありますのでそちらに譲りますが、
魚介類の保存温度は、室温を避け冷蔵庫等の低温で保存しましょう。(特に気温の高いこの時期は特に!!)
腸炎ビブリオは、1個の菌体が2個に分裂するまでの時間が非常に短く10分程度と言われています、それに対しブドウ球菌は30分程度といわれていますので、数時間室温に放置するだけで菌の数が膨大に増えるわけです。
例えば・・・
室温においた腸炎ビブリオ1個の菌が4時間後には・・・・・1,627,716個!!
同条件でブドウ球菌の場合では・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・256個。
これは菌1個として試算しましたが、実際には多数の菌が存在しているはずなので、指数関数的に菌が増えることは容易に想像できると思います。
YICNet 佐藤