風疹のススメ
カテゴリー:お役立ち~その他の感染症~ 2013年4月16日
風疹まとめました。
参考まで・・・


『過去最悪ペースで感染が拡大しています』
国内のことしの風疹患者の数は2000人以上で、すでに去年1年間の患者数を3か月足らずで上回り、去年同時期の「20倍以上」です。
ピークは例年春から夏で、さらに感染拡大が懸念されています。


『妊娠中の女性は特に注意して下さい』
妊娠中の女性が感染すると、赤ちゃんの目や耳、心臓などに障害が出るおそれがあります。


『大半は20歳以上の成人男性です』
この年代の男性は風疹の予防接種を受けていない人が多く「感染源」となるおそれがあります。仕事などにも影響が懸念されます。


『確実な予防法はワクチン接種です』

風疹の予防接種を受けるには?

風疹のワクチンには、

・風疹だけを予防する「単独ワクチン」
・風疹と麻疹(はしか)の2つを予防する「混合ワクチン(MRワクチン)」

の2種類があります。

「単独」の方が「混合」より費用は安いものの生産量が少ないため、接種する人が増えると不足するおそれがあります。
当院でも現在購入の目処がたっておらず、安定供給の予定は9月以降になってます。
「混合」は、費用は「単独」より高いものの、今のところ在庫は十分です。

成人には麻疹の抗体が少ない人も多いので、専門家は混合(MR)ワクチンの接種を勧めています。

接種を受ければすぐに大丈夫、というわけではありません。接種から抗体ができるまでには2~3週間かかるとされていますので、ご注意ください。

接種費用は?補助は?

風疹ワクチンの接種は、内科や小児科がある最寄りの病院で受けることができます。
もちろん八雲総合病院でも・・・
ただし接種には保険が適用されないため、医療機関ごとに費用はまちまちです。
費用は「単独ワクチン」は4000~8000円前後、「混合ワクチン」は7000~1万2000円前後といわれていますが、地域や医療機関によって異なりますので事前にご確認ください。
参考までに、当院では
「単独ワクチン」は5400円、「混合ワクチン」は8900円で+消費税
あと、抗体検査にあたっては、受診料+検査料で7000円くらいです。


市区町村によっては、接種費用の一部または全額を助成するところもあります。市区町村のホームページなどで確認して下さい。
八雲を含む近隣町では助成はありません。

必ず電話で確認・予約してください!

医療機関にワクチンの在庫がない場合も多く、電話で確認・予約が必要です。
内科だけを持つ病院と比べて小児科を持つ病院は、子どもの定期接種のためにMRワクチンを置いているところが多いので早めの接種がしやすい傾向にあります。
ネットで対応病院を調べると言うのも一つの手です。

接種にあたっての注意は?

接種は必ず、医師と相談のうえで受けてください。現在妊娠の可能性がある、または妊娠中の女性は接種できません。また、ワクチン接種から2か月間は避妊が必要です。



ところで・・・

風疹とはどのような病気で、何がこわいのでしょうか?

~主な症状は~
主な症状は、発熱と、その翌日くらいに小さくて細かい赤い発しんが顔から出始め、全身に一気に広がります。また、耳の後ろや後頭部のリンパ節が腫れて、痛むこともあります。また目が充血したり関節痛を訴える人も多いということです。大人の患者の3割に、39度以上の高熱が出たという報告があります。
風疹.jpg風疹リンパ節.jpg


~“子どもの病気”ではなく、大人の重症例もある~
「風疹は子どもがかかる病気」だと思って油断してはいけません。成人の風疹の多くは、1週間程度で症状が治まると言われていますが、中には風疹のウイルスによって脳に炎症が起きる「脳炎」と診断されたケースもあります。
重症に至らないまでも、40度近い高熱が数日間続いたり、血小板が減少して入院するケースもあります。1週間ほど仕事ができなくなることが多いため、仕事や生活にも支障が出てしまいます。
~感染力は、発疹がでる前から~
風疹は、患者の咳や会話で飛び散る飛沫(ひまつ)を介してうつります。患者は発疹が出る前後1週間ほど風疹ウイルスを出しています。
また風疹の免疫がない人の中に患者が1人いた場合、何人の人にうつすかを示す指標では、インフルエンザは1~3人であるのに対し、風疹は5人~7人と言われています。

~妊娠中は特に注意!~
妊娠20週頃までの女性が風疹ウイルスに感染すると、おなかの赤ちゃんが目や耳、心臓に障害が出る「先天性風疹症候群」で生まれる可能性があります。
その確率は妊娠初期に感染するほど高く、妊娠1か月では50%以上、2か月で35%、3か月で18%、4か月で8%というデータがあります。
妊娠していることに本人や周囲が気づかず、「無警戒」な時期に感染してしまうおそれもあります。
最近の報告では、身近に風疹にかかった人がいないのに感染する妊婦が相次いでいます。生まれてくる赤ちゃんを守るためには、多くの人が風疹にかからないように予防することが重要です。

~“1回かかったことあるから大丈夫”は誤解です~
風疹に関してよく言われるのが、「自分は子どものころに風疹にかかった、またはワクチンの予防接種を受けた記憶があるので大丈夫」というものです。
これほんと?
まず予防接種については、一回の予防接種では、ウイルスに感染するのを防ぐ「抗体」が体の中で十分作られないケースが、専門家によると5%弱あるということです。
割合は少ないものの、確実ではないということです。
また、過去に一度予防接種を受けたことがあっても時間の経過にともなって「抗体」が減少することがあり、感染する可能性があるということです。
このため今の子どもたちは2回接種を受けてワクチンの効果を高めていますが、平成2年4月1日以前に生まれた人は、子どものころに1回しか接種の機会がありませんでした。今、23歳以上の方です。

一度風疹にかかった人は、多くの場合、生涯風疹にかかることはないといわれています。ただ、子どものころ風疹にかかった記憶があるという方の中には、実際には「はしか」や「リンゴ病」など別の病気だったのを本人や親が勘違いしているケースも少なくありません。
ある専門家が風疹にかかったことがあると答えた人の血液検査をしたところ、約半数が実際には風疹ではなかった、という調査結果があります。
以前は医師が症状だけで風疹と診断するケースもあったため、診断が間違っていたこともあり得るのです。「昔1回かかったから、接種を受けたから大丈夫」という「思い込み」にはご注意ください。

~なぜ20代~40代男性に多いのか?~
患者の8割近くが男性で、その大半が20代から40代です。
なぜこの年代の男性に風疹患者が多いかというと、子どものころ、予防接種の対象ではなかったり、対象であっても受けていなかったりして、抗体がない人が多いためです。
まず・・・
昭和37年4月2日から昭和54年4月1日生まれの男性は特に注意してください。中学生のときに学校で集団接種が行われていましたが、対象は女子だけでした。
昭和54年4月2日から昭和62年10月1日生まれの人は男女とも要注意です。この時期は男女ともに中学生のときに風疹のワクチンを接種することになりましたが、学校での集団接種ではなく個別に医療機関に出向いて受けることになったため、この期間は男女ともに接種率が激減した時期です。
昭和62年10月2日から平成2年4月1日生まれの人は、男女とも要確認です。男女ともに幼児期に接種する機会があり、接種率は比較的高かったものの、受けていない人や1回の接種だけでは抗体が不十分な人もいて、こうした20代から40代の間で今感染が広がっているとみられています。
現在は、ワクチンの効果を高めるため、1歳と小学校入学前の2回、ワクチンを接種することになっています。また2回目の接種を受けていなかった世代を対象に、平成25年3月末までの5年間は中学1年生と高校3年生相当年齢の人が無料で接種できるようになっていましたが、特に高校生の接種率が低く、今後も抗体が不十分な人が減らずに、風疹の流行が繰り返されると懸念されています。
ワクチン接種状況.jpg



ワクチンポスター.jpg

妊婦さんへ・・・

妊娠24週ころまでは人ごみをなるべく避けましょう
先天性風疹症候群は、妊娠の早い時期ほど発生リスクが高く症状も重くなります。排卵前および妊娠20週以降の発症では基本的に永続的な障害を残しませんが、念のため妊娠24週頃まで、特に妊娠12週未満の妊娠初期は可能な限り人ごみを避け、子どもの多い場所への長居を避けるようにしてください。

妊婦さんのご家族へ・・・

すぐにワクチン接種を受けましょう。
妊婦さん本人は風疹ワクチン接種を受けられません。今回の流行では、20~40歳代の男性患者さんが多く、まさに妊婦さんの夫世代です。ご家族が家庭外で風疹にかかって妊婦さんのいる自宅に持ち込むことのないよう、同居のご家族は予防接種を受けてください。
その際には、麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)の選択をおすすめします。近年、麻疹(はしか)も時々流行することがあり、妊婦さんが麻疹にかかると流早産率が高く危険です。この機会に麻疹の抗体も獲得しておきましょう。

妊娠が終わった方へ・・・

ワクチン接種を受けましょう。
出産後(流産後)、今回の妊娠が終了したら、ワクチン接種を受けましょう。低い風疹抗体価により対象ですが、抗体価のわからない人も、できれば受けてください。
現在の幼児が受けている2回接種を我々おとなの世代は受けていないので、その2回目を受けるつもりで、低抗体価の方も接種を受けていただきたいと思います。

「もしかして風疹?」と思ったらかかりつけの医師にまず電話で相談してください。
妊娠してから、たまたま職場で風疹が流行するなどして、自分にも発疹や発熱が生じてしまった場合、まずはかかりつけの医師に電話で相談してください。
連絡なく受診するのは、他の妊婦さんへの感染拡大のおそれがありますので避けて下さい。確実に診断するためには症状出現時と1~2週間後の抗体検査が望ましいとされています。

もし風疹と診断された場合、赤ちゃんへの影響の可能性は、妊娠週数や予防接種歴、抗体測定歴などによりさまざまです。あわてないで、かかりつけの医師とよく相談してください。

同居家族や職場同僚に風疹患者さんが発生したらかかりつけの医師に相談してください。
風疹患者さんとの濃厚な接触は、本人の症状がなくても、まれに胎児感染を起こすことがありますので、そのようなことがはっきりしたら、かかりつけの医師に報告し相談してください。濃厚な接触とは、同居する家族(夫や子ども)の明らかな風疹発症などです。

風疹患者さんと一瞬すれ違っただけでは通常は心配ありません。
風疹ウイルスは、感染した人の鼻や喉からの分泌物の中に含まれます。

感染した人のくしゃみや咳などの飛沫により、人にうつります。この鼻や喉からの分泌物が付着したものに触れて、手指によって自分の鼻や口の中に風疹ウイルスが運び込まれるわけです。

マスクをし、よく手を洗うことによっても防ぐことができます。日頃から習慣づけましょう。

さあ!みんなで感染拡大阻止を目指しましょう!
 
YIC­Net 崎本
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