夏に流行る感染症 シリーズ『手足口病』
カテゴリー:お役立ち~その他の感染症~ 2012年7月14日
小児科医の高柳です。

ようやく八雲も夏到来?半袖で過ごせる時間が長くなってきましたね。でもまだ少~し肌寒い日もありますので体調管理に気をつけて下さいね。


今回は、夏に流行するウイルス性の病気の代表的なものの一つ、手足口病について投稿します。

手足口病の特徴的な症状として、手のひら、手の甲、足の裏、足の甲、口の中の粘膜に水疱(水ぶくれ)が出現します。
(膝や肘、お尻に出てくることもあります)
水疱の大きさは米粒大から小豆大くらいの楕円形で、周りが赤い輪郭でその中は白く見えます。
参考として下図に示します。

【口腔粘膜に出現した水胞】
手足口の口.jpg
【足のしわに沿って認める紡錘形の水疱】
手足口の足.jpg
【手のひらの小水疱】
手足口の手.jpg

同じように水胞が出てくる病気に水ぼうそうがありますよね?
水ぼうそうの水疱は円形で、主に胸やお腹、顔や頭に出現しますが、手足口病では、名前のとおり(上記のとおり)!主に手足口。
水疱の特徴として、純粋な円形ではなく楕円形または紡錘形で手足では皮膚のしわに沿って分布します。

水疱は破れると表皮が剥げたようになり、かゆみ、特に口では強い痛みを伴います。
熱が出ることもありますが、高熱ではなく、1~2日でおさまります。


手足口病の子に接触したりウイルスが口の中に入ったりなどで感染しますから、感染しやすい場所としては、子供同士で濃厚な接触があるところ、身近におむつをかえる環境にあるところ、指しゃぶりや自分で手を洗おうという観念がついていないなどの児をもつ家庭、保育所、幼稚園などが挙げられます。
集団で感染する場所としても懸念されています。
ということで、罹りやすい年齢は1歳くらいがピークですが学童でも流行を認めることもあります。学童までに感染するケースがほとんどです。
まれですが、大人も感染します。

水疱が消失した後も3­4週間は糞便中にウイルスが排泄されることがありますのでおむつ替えなどでは注意が必要です。
治療薬はありません。が、普通は1週間ほどで自然に治っていきます。

口の中の痛みが強い場合は炎症を抑える塗り薬を用いる場合があります。

食事がとれないときはおかゆなど口の中への刺激が少ない食事に変更しましょう。
脱水にならないように注意して下さい。予防のための水分接種には ORS(経口補水)をお勧めします。

~ORS記事へジャンプ~
http://hosp.town.yakumo.hokkaido.jp/modules/yic_blog/index.php page=detail&bid=80


それでも食事・水分摂取が十分でない状態が続く場合は一度受診しましょうね。
また、まれに髄膜炎、脳炎などの重症化することがありますので、グッタリして様子がおかしいと思ったら速やかに受診しましょう。

予防のまとめです。
感染予防のために、できるだけ手足口病の患者との接触を避け、接触の必要がある場合は手洗いを欠かさない様にしましょう。
手足口病に感染した場合は、水疱を破らない努力と、水疱、発疹が残ってるうちはプール通いを避けましょう。また、回復後もしばらくは、特に排便後の手洗いを徹底させてください。

 
八雲総合病院 小児科 高柳健太
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