八雲町の大新地区に昭和57年に開設された厚生園という特別養護老人ホームがあり、八雲町の地域医療を支えています。
利用対象者は要介護3~5ということもあり、車椅子やベッド上で生活をしている方がほとんどです。
年齢を重ねるごとに障害が重度化していく利用者さんが多く、リハビリスタッフが不在の中、介護職員さんが重度化を予防しようと知恵を絞っていましたが限界を感じ始めていました。
そこでリハビリテーション専門職の力を借りたいと私たちにお声がかかり、リハビリテーション講習会を開催する運びとなりました。
障害が重度化していく原因は一人一人によって違いがあり、その人にあった対策を見出すのは専門的な知識や経験が求められます。
リハビリテーション専門職の強みは、起きている現象の原因が評価できるので、その人にあった根本的な解決方法を見出すことができます。
相談された入所者さんの具体例を紹介します。
全身の拘縮が重度で、リクライニング型の車椅子に乗車すると頭が左側に落ちてしまうので、枕を入れて対応していた。それでもどんどん左側に傾いてしまうのでどうしたら良いか?という相談でした。
その入所者さんの体の状態を評価し、介護員さんに協力してもらいながら、体幹の左側のどこにどのくらいの枕を入れればいいか検討し、姿勢が修正できるか確認してもらいました。
その際に「なぜここに枕を入れるのか」という理由も聞いていただき、左に傾いてしまう現象の原因を説明しました。
同時にこれ以上拘縮が進行しないための対策を提案しました。
介護員さんの業務負担を増やさないように留意した対策は、介護員さんの高評価を得る事が出来ました。
今回の講習会で、リハビリテーション専門職の知識と経験を活用することの有用性を感じてもらいたいと思います。