こんにちは。理学療法士の佐々木です。
夏も近くなり、蒸し暑くなってきましたね。屋外で行うスポーツも機会が多くなり、皆さん、汗を流されていることでしょう!!
今回は、スポーツに関連した怪我のうちの一つである、コンタクトスポーツ(ラグビー、サッカー、バスケットボールなどの相手選手に直接接触する競技)に起こることがある「脳震盪」について簡単にお話したいと思います。
●脳震盪の症状
よくスポーツをしているときに、相手選手と交錯して頭をぶつけた・ボールを捕ろうと飛び込んで頭に強い衝撃がかかったなど、頭部に激しい衝撃が加わることで、意識障害・意識消失や記憶障害などが一時的に起こる脳の機能障害のことを言います。しかし、必ずしも意識障害や記憶障害が起こるわけではなく、頭痛・めまい・嘔吐・悪心・バランス能力の低下・注意力の低下などが主な症状です。
●脳震盪への対応
脳震盪は、数分で症状が消失することもあれば、数週間~数か月持続することもあります。また、症状の程度、受傷者の様子の変化によっても対応が異なってくるため、監督・コーチなどの指導者、保護者はしっかり理解しておくことが必要です。原則では、病院受診が勧められ、医師の判断を仰ぐことが大切です。
脳震盪受傷時・脳震盪が疑われる際の当日の対応
・受傷当日は、プレーに参加しない・させない。
・受傷者の様子を常に観察しておく。24時間観察する、一人にしない。
・急変時は、連絡が取れるように配慮しておく。
・運転させてはいけない。
・意識消失、記憶障害が見られた際には、病院受診することが勧められる。
病院受診が直ちに必要と思われる状況・症状
・1分以上の意識消失が見られた。
・激しい頭痛、嘔吐が治る気配がない。
・けいれん発作を起こした。
・意識状態が良くなく、常に眠っているような状態である(声をかけて目を開ける、肩を叩いて、目を開けるなどの状態)。
・行動、言動がいつもと違う。情緒が不安定である。
・立っていてもふらついて、立っていられない。歩けない。
・手足のしびれ、感覚の異常がある。
・これまでに脳震盪の経験がある。
脳震盪の疑いがある場合は、本人の「大丈夫です。」「やれます。」の言葉だけでプレーを続けさせることはとても危険です。上記の表のように、症状や様子を観察し、少しでも危険がある場合には、プレーを中断させて安静にしましょう。また、医師の診断後に頭痛・嘔吐などの症状が悪化することもあるようなので、その際には受診して頂くことが大切です。
●セカンドインパクト症候群
脳震盪が完治していない状態で再度、脳に強い衝撃が加わった場合にみられる合併症のことを言います。脳浮腫・急性硬膜下血腫などの重篤な症状が見られ、短時間で死亡に至るケースもあるとのことです。選手同士の接触が多いスポーツの場合、脳震盪が完治するために運動を避ける期間は1週間~3、4週間とされており、運動の許可については主治医に確認しましょう。
今回はスポーツでの脳震盪についてお話しました。適切な知識や対処方法を知り、安全にスポーツを楽しみましょう!