こんにちは。理学療法士の佐々木です。
八雲町は例年以上の降雪量で、日々の雪掻きにもそろそろうんざりしてきた方も多いのではないでしょうか。私もその一人です。
そんな中ですが、やはりこの降雪量も相まってか、病院に入院されてくる方々も何らかの骨折の患者さんが一層多くなったと感じています。そこで、今回は骨折の治癒過程や治療後の起こる可能性のある後遺症について、簡単に紹介していきたいと思います。
まずは、治癒過程を紹介します。
・骨折の症状
骨折をすると、骨を覆う骨膜と言われる組織や周囲の柔らかい組織が損傷し、出血が起こります。この損傷により、骨や周辺組織の血管が壊れてしまい、血の塊ができる・大きく腫れあがる・強く痛む などの症状として現れます。ですが、患者さんのお話を聞かせていただくと、中には歩いて病院まで来た方やそんなに痛みはなかったけど折れたと言われた、という方も少なからずいらっしゃいました。骨折しているからと言って、必ずしも症状が強くでるとは限らないということですね!
・骨折した後の‘’仮の骨‘’の形成
骨折後に骨の組織や細胞が損傷すると、壊死を起こします。また、血の塊では骨の修復のために繊維を作り出し、細胞を活性化させるために細胞分裂を繰り返します。そして、作り出された繊維とガラス状のような物質が分泌されて、軟骨性の仮の骨が出来ます。その後は、骨折した部位に血管が形成され始め、細胞分裂がさらに多くなります。
壊死を起こした骨の組織や軟骨組織は、破骨細胞(はこつさいぼう)に溶かされ吸収されます。その吸収された代わりに、細胞分裂で増殖した骨芽細胞(こつがさいぼう)により骨の基盤となるような組織が出来上がります。この状態が一次性化骨状態と呼ばれています。この時点では、レントゲンではほとんど分からず、骨がまだ離れている状態のようです。そこから、ある程度の時間を経て骨の硬化が始まり、骨が形成されていきます。ここまで来れば、大きな外力を加えなければ、再び骨折をすることはなく、日常生活を送ることが出来ます。さらに、時間が経つと骨の再構築が進み、より強度の強い骨へとなっていきます。このような骨の治癒には複雑な過程があることから、強度の高い運動や仕事をされている方は、より担当の先生の指示を聞いて、再発予防をしていく必要があるということですね!
ここまでが、ざっくりとした骨の治癒過程のお話でした。
最後に後遺症や骨の治療が上手くいかなかった場合に考えられることをお話しします。
・骨の治りが遅い場合がある
骨折した部分の著しい血行障害がある場合、骨密度の低下や糖尿病を有している方に見られることが多いようです。上記で示した、仮の骨の形成に時間がかかることや骨折した跡がなかなか良くならないことがあるようです。また、術後の感染症によっても治癒期間が遅延することがあります。
・元の関節や骨の形とは別の形になって治る
骨折時の骨のずれが概ね元の位置に整復・矯正されていない場合や、固定が不十分で整復された骨が後でずれてしまった場合などの原因で、骨が曲がったまま癒合したものになります。手術の際に間違って整復した場合を除くと、例えば骨折部に体重をかけて歩いてはいけないと医者からの指示があったのに、関係なく体重をかけて歩いたり、動かしてはいけない範囲を動かしてしまうと変形して治癒してしまう可能性が高いです。
・後遺症について
上記のような骨の治癒が上手くいかなかった場合は、何らかの後遺症を残してしまう事が殆どです。治癒過程で起こる仮の骨の形成が過剰になってしまうこと、骨性の関節可動域制限や慢性的な関節痛の出現などが考えられ、日常生活に大きな影響を及ぼします。骨折の部位によっては、骨壊死(こつえし)を招き、人工関節の挿入を余儀なくされてしまう事があります。
以上ではありますが、簡単に骨折のお話をさせていただきました。
カラダの治療は、個々によって大きく異なり、様々な要素が複雑に絡み合っています。実際の治療経過や方針は、その時の状況次第で常に変化します。実際に皆さんも困った状況に遭遇した時は、今回のお話も参考にしてみてください。