こんにちは!精神科作業療法士の佐々木です。
皆さんは、MCIという言葉をご存じでしょうか?MCIとは、軽度認知障害のことを指し、認知症への進行予防としてとても重要な時期とされています。
認知症の中でもっとも頻度の多いアルツハイマー型認知症は、現在まだ治療法が確立されていませんが、アルツハイマー型認知症の前段階である、MCIの段階での早期発見・早期対策で発症を遅らせる可能性があるとされています。
MCIの定義
1)本人または家族から記憶障害の訴えがある
2)日常生活動作は正常
3)全般的な認知機能は正常
4)年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在する
5)認知症ではない
アルツハイマー型認知症の場合は、症状が出現する十数年~二十数年前に脳の変化が始まるとされています。そんなに前から変化し始めているの?と思われる方が多いのではないでしょうか。
発症から間もないころの自覚症状の例
・うっかり忘れることが増えた
・うっかり勘違いをすることが増えた
・会話で言葉を探すことが増えた
・予定が変わると戸惑うことが増えた
・簡単なことでも、頭が疲れやすくなった
・「どうしてこうなったのだろう」
・「これからどうなるのだろう」
家族が気付いた認知症の初発症状
・置き忘れやしまい忘れが目立った(46,7%)
・同じことを何度も言ったり聞いたりする(26,7%)
・ものの名前が出てこなくなった(18,3%)
・水道の蛇口やガス栓の締め忘れが目立った(10%)
・時間や場所の感覚が不確かになった(6,7%)
・以前はあった関心や興味が失われた(5%)
・計算の間違いが多くなった(1,7%)
・その他(70%)
新潟県糸魚市健康増進課,東京慈恵会医科大学精神医学講座:
平成16年度高齢者こころとからだの健康調査報告書(2006)
MCIを放置すると、認知機能の低下が続きます。MCIから認知症に症状が進行する人の割合は年平均で10%と言われています。すなわち、5年間で約40%の人は認知症へとステージが進行することになります。
早期にMCIに気づき、対策を行うことで症状の進行を阻止することはとても大切です。
物忘れが起こる原因はいろいろありますので、自分で決めつけずに、気になることがあれば医療機関を受診し、どんな原因から起こっているのかを知って対策することが必要になります。
今回は、MCIという状態について説明させていただきました。次回はMCIの対策についてお伝えできればと思います。