八雲の「健康マスター」こと理学療法士の小河原です(苦笑)。
今回も皆さんと一緒に健康になるための知識を身につけ、一緒に「健康」を目指していきたいと思います。
今回は「食生活と健康」~過剰塩分が高血圧を招く~についてお話ししていきたいと思います。
厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると塩分摂取量は年々減少傾向にありますが、依然として高い数値となっています。
2016年の調査では塩分摂取量の平均値は約10gでした。WHO(世界保健機関)の目標値は5g未満なのでいかに塩分を取り過ぎているかがわかります。
左の写真が5gの塩で右の写真が10gの塩になります。こう見ると意外に多く摂取していたことがわかります。
これは日本の食文化が「塩」と深く関係しているからであると言われています。しかし、高塩分の食事を続けていると体に様々な悪影響を及ぼすことがわかっています。
①体内に塩分や水分が貯め込まれ、血圧が上がる
塩分を取り過ぎると一時的に高くなった塩分濃度を下げるために体内に水分が貯めこまれます。これによって、心臓に送り込まれる血液量が増え、血管にかかる圧力が増し、血圧が上がってしまうのです。
②重大な病気の原因となる、動脈硬化を引き起こす
高血圧は自覚症状がほとんどないため、放っておくと「命に関わる病気」を引き起こします。
そのためサイレントキラー(静かな殺し屋)とも呼ばれています。
「命に関わる病気」の原因となるのは動脈硬化です。
高血圧によって血管に負担がかかり続けると、次第に血管の壁が硬く、厚くなります。また、血管壁の中にコレステロールが入り込んで血管壁が内側に盛り上がることもあります。
こうした要因によって血管の内腔が狭くなると血液が流れ難くなったり、血管壁の一部が破れて血液の塊(血栓(けっせん))ができ、血管が詰まったりして重大な病気を引き起こすのです。
a、脳での動脈硬化
脳の血管が詰まる「脳梗塞」、血管が破れる「脳出血」や「クモ膜下出血」。これは手足のマヒや呂律(ろれつ)が回らないなどの後遺症が残ることがあります。また認知症の原因ともなります。
b、心臓での動脈硬化
心臓の血流が悪くなる「狭心症」や心臓の血管が詰まる「心筋梗塞」を起こします。血流が途絶えてしまうとその先の心臓の筋肉が壊死し突然死に至ることもあります。そのほかに、心臓の筋肉の働きが悪くなる「心不全」を引き起こすこともあります。
c、腎臓での動脈硬化
慢性腎臓病の一つである「腎硬化症」を引き起こします。体内の余分な水分や塩分を排泄する機能が低下し、さらに血圧をあげてしまうという悪循環を招きます。重症化すると「腎不全」につながります。
これらの重大な病気は、血圧が高ければ高いほどリスクが高くなります。
③塩分を取り過ぎると胃がんのリスクも上がる
高塩分の食事が招くのは高血圧だけではありません。実は日本人に多い「胃がん」も塩分の過剰摂取によってリスクが上がると言われています。これは塩分の取り過ぎると胃の粘膜が傷つけられて胃の炎症が進み、胃がんができやすい環境を作るためだと考えられています。
~ちょっと小耳~
調味料の「少々」と「ひとつまみ」とは?
「少々」の定義は親指と人差指の2本の先でつまむくらいの量です。
文献によっていろいろな表記があり、「小さじ約1/16」だったり、「小さじ約1/8」とされていることが多いです。従って、「少々」とは約0.3g〜0.6gと言われています。
※← 1つまみの写真です。
図ってみると0.5g以下でした。最小単位が0.5gであったので正確にはわかりませんでした。
また「ひとつまみ」の定義は、親指、人差指、中指の3本の指先でつまむくらいの量です。「ひとつまみ」も文献によっていろいろな表記があり、「小さじ約1/8」や「小さじ約1/5」とされていることが多いです。従って、「ひとつまみ」とは約0.6g〜1gと言われています。
「ひとつまみ」でも約0.6g〜1gの塩分量になるとは・・・。
「ひとつまみ」を5回分が適量。あっという間に過剰摂取になってしまうかを知ることができた内容でした。
過剰塩分の摂取によって引き起こされる重大な病気を予防するためには「一日の塩分量をいかに減らしていくか」が大事になります。どのように減塩をしていくと良いかを考えていかなければいけませんね。
※塩を見やすくするために色の付いた塩を使用しています。