臨床検査第一係は生化学検査、免疫学検査などの分野を担当しています。血液や尿などの体液中に含まれる成分を自動分析装置などで検査して診療に役立つ検査データを提供しています。また、糖尿病の患者さまにSMBG(血糖自己測定)の説明をしています。
生化学検査は酵素などによって引き起こされる化学反応を利用して、主に血清中に含まれる成分を分析する検査です。複数の成分の測定結果から総合的に判断することで、体の状態を推測することができます。生化学自動分析装置で検査し、所要時間は30分~1時間程度です。
肝・胆道機能検査 | AST、ALT、ALP、LDH、γ-GTP、LAP、CHE、ビリルビン、アンモニアなど |
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腎機能検査 | 尿素窒素(BUN)、クレアチニン、尿酸(UA)など |
心臓の検査 | CPK、LDH、CK-MB、BNP、トロポニンT、H-FABPなど |
糖尿病の検査 | 血糖、HbA1cなど |
脂質異常検査 | 総コレステロール、中性脂肪(TG)、HDLコレステロール、LDLコレステロールなど |
栄養状態の検査 | 総蛋白質(TP)、アルブミン、プレアルブミン、Zn、Cu |
電解質・金属の検査 | Na、Cl、K、Ca、P、Mg、Fe |
血液ガス分析検査 | 動脈血pH、CO₂分圧、O₂分圧、重炭酸など |
その他の検査 |
CRP、RFなど |
体内に細菌やウイルスなどの異物(抗原)が侵入すると、これに特異的に結合する物質(抗体)が作られます。この抗原と抗体が特異的に結合する反応を免疫反応(抗原抗体反応)と呼びます。免疫学検査はこの免疫反応を利用して、目的の成分を測定する検査です。ウイルスを直接検査するだけでなく、ウイルスに対する抗体の有無や量を調べ、感染した病気を推測することができます。また、ホルモンやがんに特異的な蛋白質(腫瘍マーカー)などを分析することもできます。他にも、患者さまが服用されているお薬(抗てんかん薬、強心剤、抗生剤など)の血液中の濃度を測定し、以後の治療に役立てられています。
全自動免疫測定装置で検査し、所要時間は1時間~1時間30分程度です。
感染症の検査 | HBs抗原、HBs抗体、HCV抗体、HIV抗原/抗体 |
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ホルモンの検査 | TSH、FT4、FT3、インスリン、Cペプチド |
腫瘍マーカーの検査 | CEA、α-FP、CA19-9、PSA、PIVKAⅡ |
血中薬物濃度の検査 | フェニトイン、フェノバルビタール、バルプロ酸、カルバマゼピン、ジゴキシン、デスラノシド、テオフィリン、バンコマイシン |
臨床検査第二係は血液検査、一般検査、細菌検査、細胞診検査、輸血検査の分野を主に担当しています。血液・尿・便・腹水・髄液などに含まれる物質や細胞の分析をしています。細胞を顕微鏡で観察し異常がないかを見たり、細菌、ウイルスの検査、安全に輸血をするための検査も行っています。
血液検査は血液中の赤血球、白血球および血小板の数を専用の機械で測定する血球算定検査と血液中の細胞の形態を顕微鏡で観察する血液像検査、そして出血傾向を調べる凝固線溶検査などを行っています。
血球算定検査 | WBC(白血球)、RBC(赤血球)、HgB(ヘモグロビン)、HCT(ヘマトクリット)、MCV(平均赤血球容積)、MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)、MCHC(平均赤血球濃度)PLT(血小板)、網状赤血球など |
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血液像検査 | Neutro.(好中球)、Lymph.(リンパ球)、Mono.(単球)、Eosino.(好酸球)、Baso.(好塩基球)など |
凝固線溶検査 | プロトロンビン時間〔PT%(プロトロンビン時間%)・PT-INR(プロトロンビン時間‐国際標準比)〕、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)、フィブリノーゲン、FDP(フィブリン・フィブリノゲン分解産物)、D-ダイマー、AT-Ⅲ(アンチトロンビンスリー)など |
輸血を安全に実施するために、血液型検査、不規則性抗体検査、交差適合試験を行っています。また、輸血に使用する血液製剤(赤血球液・新鮮凍結血漿・濃厚血小板など)の管理を行っています。
主に、尿や便を中心に検査を行っています。尿は蛋白や糖、潜血などを調べて腎臓や膀胱などに異常がないかを検査しています。また、便は、大腸がんや大腸ポリープなどは血液が混じることが多いため、便の中に血液が混じっていないかを調べたりします。他には、髄液、精液、胸水、腹水など血液以外の検体もさまざまな検査を行っています。
患者さまから採取した喀痰や尿などの検体を寒天培地に塗布して通常、一昼夜培養すると、直径約1~2mmくらいの小さなコロニーと呼ばれる細菌の集塊ができます。これを顕微鏡や、さまざまな試薬あるいは専用の機器を使って検査を行います。
尿、痰のように患者さま自身が排出されたものや、子宮、乳腺、甲状腺などの臓器から擦過したり、穿刺吸引により採取した細胞を顕微鏡で観察し、細胞の異常、つまり良性、悪性を判断する検査です。
臨床検査第三係は生理検査(生体検査)と呼ばれる分野を担当しています。生理検査には心電図検査や超音波検査などがあり、皆さまとお会いする機会は臨床検査室のなかでは多いと思いますので、検査に不安や疑問がある場合には安心して検査を受けられるように私たちに遠慮なく声を掛けてください。
一般的な心電図検査です。ベッドに体の力を抜いて楽にして寝ていてもらい、手首と足首、そして胸に電極を付けていきます。検査時間は5分くらいです。
胸にシール状の電極を貼り腰に小さな機械をつけて、心電図を24時間記録する検査です。普段通りの生活をしていただきますが、機械が水に弱いためお風呂やシャワーには入れません。
運動しながら心電図を記録する検査です。シール状の電極を体に貼り、腕に血圧計を巻いてトレッドミル(ランニングマシンのような機械)の上を歩いてもらいます。検査中はだんだんと早くなったり、角度がついたりしていきますので、走ってもらうこともあります。検査時間は歩く時間で変わりますが準備時間などを含めて30分くらいです。
足の血管の硬さや詰まりを調べる検査です。ベッドに体の力を抜いて楽にして寝ていてもらい、手首と足首に血圧計のマンシェットを巻き血圧を記録していきます。検査時間は5分くらいです。
外から見ることのできない体の中(腹部、頸部、心臓、血管、甲状腺など)を超音波を用いて覗き、画像にして調べる検査です。ベッドに体の力を抜いて楽にして寝ていてもらい、プローブを体にあてて検査します。その際、体にゼリーを塗り、超音波の画像が見やすいようにします。検査時間は検査部位で変わってきますが15分から30分くらいです。
咳や息苦しさなどがある時、呼吸の状態を調べる検査です。クリップで鼻をふさぎ、口で息を大きく吸ったり吐いたりしてもらいます。検査によっては勢いよく吐いたり、途中で止めてもらったり、また、検査用のガスを吸ってもらい検査をしていく事もあります。検査時間は検査内容で変わりますが15分くらいです。
脳の活動を調べる検査です。ベッドに体の力を抜いて楽にして寝ていてもらい、頭にクリームで脳波を記録する為の電極をつけていきます。検査中基本的には目を閉じていますが途中で目を開けたり閉じたり、深呼吸をしたり、目の前に光をあてたりします。また、睡眠時の脳波を記録する事もあります。検査時間は検査内容によりますが1時間くらいです。
手のしびれの時など、神経の状態を調べる検査です。ベッドに体の力を抜いて楽にして寝ていてもらい、皮膚の上から神経に弱い電気で刺激を与えその反応を見る検査です。検査時間は30分くらいです。
赤ちゃんの耳の聞こえを調べる検査です。寝ている赤ちゃんの耳に小さな音を聞かせ、その時の脳の反応を記録し聴力に障害がないかを調べます。検査時間は10分くらいです。
ご自宅で就寝前に機械を自分でつけていただく簡易SAS検査と、入院(1泊)していただき、技師が機械を装着するPSG検査(精密検査)があります。簡易SASは血中酸素濃度や呼吸の有無を調べる検査です。PSGは脳波をとって睡眠中のみの血中酸素濃度、呼吸の有無、いびきや体の動きを調べます。
なども行っています。
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