近年の高齢化社会、特にこの地域では、高齢者の割合が都市部と比較して高く、加齢により発症した整形外科疾患の治療を行う上で、当院は極めて重要な位置にあると考えております。
高齢者の生活の質(Quality of Life)を向上させるべく、手術治療が必要な患者様の中には、当院での手術治療を受けている方もたくさんおられますが、近隣あるいは大都市の整形外科にて治療を受けている例も少なくないと感じております。その理由は様々ある思いますが、その中の一つに患者様の心理として、『手術を受けるなら出来るだけ規模の大きい病院で、高度な治療を受けたい』と考えることは否定できません。
私の治療という考え方は、手術をした場合、その術後の長期に渡り診療をさせて頂く事が医師の責任であると思っております。しかしながら、患者様が高齢になるに従い、手術を行った比較的規模の大きな病院に通院することが難しく、当院で加療をされている例が多いのが現実です。
そこで、この問題を解決するため、私が専門としている『膝』、特に人工関節において国内最先端の治療を行っている北海道大学の整形外科と連携し、膝の治療に特化した『膝専門外来・人工関節専門外来(仮称)』を当院に立ち上げることとなり、地域でも高水準の治療を受けられる体制の構築が出来ることとなりました。現在でも私自身、年間20~30例の人工関節手術を行っております。八雲に赴任してから手掛けた人工関節は300例以上となり、そのほとんどを現在でも引き続き外来で治療させて頂いております。
現在すでに専門外来を開設しており、主に私と北海道大学病院の特任教授である近藤英司医師が担当しております。さらに、膝関節以外でも、上肢及び脊椎疾患にも同様の専門外来を開設し、上肢は北海道大学病院整形外科の岩崎倫政教授、船越忠直講師、脊椎は北海道医療センターの伊東学脊椎・脊髄病センター長が診療しており、いずれも日本の第一線で活躍されている先生に定期的にお願いしております。
そして、平成29年7月整形外科外来に「人工関節センター」がオープンしました。当院の下出整形外科部長がセンター長に就任して外来診療や手術治療、リハビリテーション、術後経過の管理など、高度な専門性を明確に打ち出して、経験豊富な医師と医療スタッフで展開していきます。
地域でこれだけ特化した専門外来を行っている例は少なく、八雲及び八雲近郊に在住の患者さんには、満足できる医療を地元で受けることができるものと確信しております。