お産の現場では、赤ちゃんが健康で、元気に生まれてくるために、医師や助産師などが大変な努力をしておりますが、それでも予期せぬ出来事が起こってしまうことがあります。『産科医療補償制度』はお産をしたときになんらかの理由で重度脳性麻痺(じゅうどのうせいまひ)となった赤ちゃんとそのご家族のことを考えた補償制度です。
当院は、財団法人 日本医療機能評価機構が運営する産科医療補償制度に加入している分娩機関です。当院での分娩を予定されている全ての妊産婦の皆様に産科医療補償制度への登録をお願いいたします。
パンフレットなど用意しておりますのでお気軽にお問い合わせ下さい。
分娩に関連して発症した重度脳性麻痺の赤ちゃんとその家族の経済的負担を速やかに補償します。また、重度脳性麻痺発症の原因分析を行い、再発防止に役立つ情報を提供することにより、紛争の防止・早期解決、産科医療の質の向上を図ります。
妊産婦の皆様が安心して産科医療を受けられるように、病院、診療所や助産所といった分娩を取り扱う機関が加入するもので、分娩機関に過失がなくても補償金が支払われる画期的な制度です。
公正で中立的な第三者機関として(財)日本医療機能評価機構が運営にあたります。
「出生体重2,000g以上かつ妊娠33週以上」または「妊娠28週以上で所定の用件に該当した場合」で出生した赤ちゃんに、身体障害者等級1級または2級相当の重度脳性麻痺が発症した場合に補償の対象となります。(先天性の要因等については、補償の対象外となることがあります。)
分娩に関連して発症した重度脳性麻痺の赤ちゃんに対して、看護・介護のために準備一時金600万円と補償分割金2,400万円(年間120万円を20回)、総額3,000万円が補償金として支払われます。
※準備一時金(看護・介護を行う基盤整備のための資金)
※補償分割金(看護・介護費用として毎年定期的に支給)
この制度に加入している分娩機関では、妊産婦の皆様にこの制度の対象となることを示す「登録証」を交付します。必要事項をかならずご記入いただきますようご協力をお願いいたします。また、交付された「登録証」は、母子健康手帳に挟み込むなどして、分娩後5年間は大切に保管してください。
産科医療補償制度の対象は、本制度に加入している分娩機関での出産となります。転院される場合には、転院先の分娩機関が本制度の加入分娩機関であるか事前にご確認ください。この制度に加入している分娩機関の一覧は以下より確認することができます。また、加入している分娩機関では産科医療補償制度のシンボルマークが院内に掲示されます。
補償金を請求するためには、身体障害者等級の肢体不自由(したいふじゆう)の認定に係る小児の診療等を専門分野とする医師又は小児神経専門医によるこの制度の専用診断書を取得して、必要書類と合わせて分娩機関に提出し、補償認定を依頼します。
補償認定を依頼できる期間は1歳の誕生日から5歳の誕生日までの間です。ただし、極めて重症であって、診断が可能な場合は生後6ヶ月以降でも依頼できます。
分娩機関はそれらの書類と分娩機関としての必要書類とを運営組織に提出して補償認定を請求します。運営組織は審査委員会において補償認定の審査を行います。
審査の結果、補償対象と認定された場合は運営組織からの案内に沿って補償金(一時金と毎年の分割金)を順次請求いただき、それに基づいて運営組織が保険会社に保険金請求を行います。保険会社は補償請求者に保険金を補償金として支払います。(なお、審査結果に不服がある場合は、再審査の請求を行うことができます。)
補償対象となった重度脳性麻痺については、分娩機関の協力により、原因分析委員会において医学的な視点で原因分析を行い、その結果を報告書としてご家族及び分娩機関にお知らせします。