インフルエンザのホントのトコロ
カテゴリー:お役立ち~インフルエンザ~ 2012年4月27日
こんな時だからこそ!
一緒におさらいしましょう・・・


《症状》

・ほとんどの場合は薬による治療を受けなくても時間とともに自然に治る。
・高熱や全身の強い症状の持続期間は平均3日間ほど。
・まれに肺炎、脳症などを起こして重症になり、時に死に至る場合もある。
・罹って「4日間以上たっても熱や咳などの症状が良くならない」「一度良くなりかけたのに再び熱が出てきて咳や痰が出る」場合などは肺炎を疑う。
・小児で比較的多く見られる”インフルエンザ脳症”の兆しは「普段と明らかに異なる言動を示す」「呼びかけへの応答が悪い」「けいれん」などである。その場合は即病院へ。


《流行》

・日本では例年12月から3月頃の期間に流行する。「今は4月?う~ん・・・」
・流行は、一般的にピークが2~3週ほどで、5~6週間ほど持続する。


《検査》

・フルの迅速検査は15~20分程度。
・患者が迅速検査を受けた時に結果が陽性になる確率(感度)は20~70%。
・発症後24~48時間では85~95%の高い割合でフルと判定できる。
・迅速検査 陽性→ほぼ確実にフル。
・迅速検査 陰性→何ともいえない(可能性あり)。
・患者の周囲で流行していて、なおかつ、らしい症状があればそれ以上特別な検査を行わなくても79%の確率で診断できる。
・周りへの感染性を確認する目的で迅速検査を用いることは妥当ではない。


《受診》

・罹ったかどうか、または治ったかどうかを確認するための受診は感染拡大の点からみて合理的ではない。


《治療》

・治療は「身体の症状を抑える治療」と「ウイルスの増殖を抑える治療」に分かれる。
・「身体の症状を抑える治療」の解熱鎮痛剤にはいくつかの種類があるが、そのうちの一部の解熱鎮痛薬は、関連した脳障害が起きる確率を高めると言われているので、積極的な使用は避ける。
・薬局・薬店で市販薬の解熱鎮痛剤を購入する場合は、薬剤師のアドバイスを聞くとよい。
・「ウイルスの増殖を抑える治療」に抗インフルエンザウイルス薬がある。
・抗インフルエンザウイルス薬使用の利点には、”症状の緩和”があり、発症から48時間以内に投与を開始すれば高熱などの強い症状が続く期間が1~3日間短縮する。
・抗インフルエンザウイルス薬使用の利点には、”重症化の予防”があり、可能性として理論的には肺炎や脳炎などを併発して重症になる危険性を下げる。
・抗インフルエンザウイルス薬使用の欠点には”副作用”があり、すべての薬剤は副作用を起こす可能性があるように、抗インフルエンザウイルス薬にも1割前後の患者に吐き気、腹痛、下痢などの症状がみられる副作用が報告されている。
・抗インフルエンザウイルス薬使用の欠点には”耐性ウイルスの出現”があり、抗インフルエンザウイルス薬を使用するとその薬剤が効きにくい耐性ウイルスの増加を促す可能性がある
・「重症化しやすい人」には抗インフルエンザウイルス薬の予防投与、治療投与を行うことが勧められている。
・「重症化しやすい人」は下記に該当する人である。
   ・5歳未満(特に2歳未満)
   ・65歳以上
   ・慢性の肺の病気(気管支喘息など)がある
   ・心臓病(高血圧のみの場合は除く)、腎臓病、肝臓病が
    ある
   ・血液の病気、代謝系の病気(糖尿病など)がある
   ・神経系・神経発達系の病気がある
   ・病気や治療薬の影響により免疫力が低下している
   ・妊婦、あるいはお産の後2週間以内
   ・長期のアスピリン治療を受けている未成年
   ・高度の肥満(BMI”Body mass index”体重(kg)を身長
   (m)の2乗で割った値が40以上)
   ・長期療養施設に住んでいる
・吸入で用いる抗インフルエンザウイルス薬は、気管支や肺のみに行きわたるので、全身の副作用の出現頻度は少ないが、気管支喘息や肺気腫などの肺の病気を持病に持つ方では、気管支が薬剤に反応して狭くなってしまう副作用が起きる可能性があるために、使用を避ける場合もある。
・抗インフルエンザウイルス薬の内服薬であるタミフルの添付文書(薬剤の公式な説明書)には、「10歳以上の未成年の患者においては、因果関係は不明であるものの、本剤の服用後に異常行動を発現し、転落等の事故に至った例が報告されている。このため、この年代の患者には、合併症、既往歴等からハイリスク患者と判断される場合を除いては、原則として本剤の使用を差し控えること。」と記載されている。が、薬による影響か否かは未だ審議中である。
・高熱などでの脱水症状の予防にはORS。


《感染力》

・発症する1日前から発症後5~7日頃まで周りの人にうつしてしまう可能性があり、特に発症してから最初の3日間ほどが最も感染力が高いと考えられる。
・小児や高齢者、免疫力の低下した患者、重症の感染患者の場合は、周りの人にうつしてしまう期間がより長くなる場合もある。
・感染してから発症するまでの潜伏期間は平均2日間。


《感染経路》

・ウイルスは、すでに感染している人の鼻水や痰の中に多く含まれていて、このウイルスが別の人の眼、鼻、口へと入るとうつる可能性がある。
・感染している人のくしゃみや咳によってウイルスを含んだ目に見えない細かいしぶきが飛んでそれが近く(2m~以内)にいる人の眼、鼻、口に付着して感染する。これはウイルスを含んだ飛沫(しぶき)を介する感染であるので、これを飛沫感染という。
・感染している人が鼻を触ったり、くしゃみや咳を手で受け止めたりした時に手にウイルスが付着してそれが握手などを介して別の人の手に移動し、その手で自分の眼、鼻、口に触れて感染する。これは手についたウイルスを、体内への侵入門戸である眼、鼻、口に接触させてしまうことによる感染であるので、これを接触感染という。
・感染している人の手についたウイルスがその人が触れた物(例:ドアノブなど)に付着して、そこを触れた別の人の手にウイルスが移動し、その手で自分の眼、鼻、口に触れて感染する。これは手についたウイルスを、体内への侵入門戸である眼、鼻、口に接触させてしまうことによる感染であるので、これを接触感染という。


《日常予防》

・かかる危険を減らすためには「予防接種を受けること」と「日常生活における感染予防」という方法がある。
・家庭内ではマスクの使用や、まめな手洗いなどにより、感染の拡大を防ぐ。
・発症してから5日目頃までは、健康な人への接触の機会をできるだけ減らす。(学校・会社の欠席、不急の外出を避ける)
・発症してから5日目以降の数日間は、外出時に咳エチケットを守る。
・学校保健安全法では、学校内での予防のための出席停止の基準を「解熱した後2日を経過するまで」としている。
・周囲の人にうつさないための手段として
   ・症状が強い最初の数日間は会社や学校を欠席し不急の外
    出を避ける。
   ・咳やくしゃみをするときには「咳エチケット」を守る。
   ・まめにせっけんと流水を用いて、特に調理前や食事前、
    咳・鼻かみ・くしゃみの後外出からの帰宅時に手を洗
    う。
・自分がかからないための手段として
   ・まめにせっけんと流水を用いて、特に調理前や食事前、
    外出からの帰宅時に手を洗う。
   ・手で目、鼻、口に触れないように心がける。
・咳がひどい時のマスクの装着は周りへの感染を防ぐための基本的なマナーである。正しく装着、着脱を心がける。
・マスクを装着する場合には鼻や顎を覆うように正しく装着しないと十分な効果が得られない。
・マスクの材質は、感染予防のためには「不織布(ふしょくふ)」でできたものが推奨され、薬局などで広く販売されている。
・マスクは使い捨てが原則で手をウイルスで汚染しないために、ひもの部分を持って着脱するようにする。
・接触感染予防には、流水のみではウイルスの除去には不十分です。手洗いの際はせっけんを用いて、手のひら、手の甲、指の間、手首などできれば40秒以上かけて丁寧に洗いましょう。
・せっけん、流水による手洗いが困難な場合は、60%以上の濃度のアルコール消毒も代替手段として有効。
・手を洗うタイミングとしては調理前や食事前、咳・鼻かみ・くしゃみの後、外出からの帰宅時などが特に有効。
・これらの対策でも感染を100%防止することはできないが、1人でも多くの人が、感染拡大防止の意識と知識を持つことで、家族内、会社内、ひいては社会全体での感染の拡がりを、減らすことができる。
・今後起こりうる「新型・・・」が流行したときの対策にもつながる。
・病院の待合室は患者同士の距離が近いこともあるので、マスクを正しく装着して受診しましょう。そして受診前後の手洗いを。


《ワクチン予防》

・予防手段として最も重要なのが、ワクチンを用いた予防接種である。
・予防接種を受けると、ウイルスから身を守る「免疫」が活性化されて感染予防に役立つことが期待される。
・ワクチンの接種可能対象年齢は、通常生後6カ月以上。
・6カ月未満の小児は、ワクチンの効果の裏付けが乏しいために、接種の対象とはなっていないが、反面、感染すると重症になりやすいので、同居家族が予防接種を受けて感染を防ぐようにする。
・日本で用いられているワクチンは、事前の処理によりウイルスの病原性を完全に失わせた「不活化ワクチン」で、それ自体が感染症を引き起こすことはない。
・ワクチンは毎年、その年の冬に流行しそうな種類を予測して、その感染を抑えるようなワクチンが作られる。
・もしも予測した通りの種類のウイルスが流行した場合は、発症の予防効果は50~80%程度。もしも予測と違ったタイプが流行した場合には効果はさらに落ちる。
・ワクチンの重大な副作用はまれだが、予防接種をした場所の軽い痛み、微熱、体のだるさなどが接種の2日後くらいまで続くことがしばしばある。
・ワクチンの重大な副作用はまれだが、高熱、アナフィラキシーと呼ばれる強いアレルギー反応、ギラン・バレー症候群と呼ばれる神経の病気の発症などが報告されているので、予防接種後に普段と違う症状が見られた場合は、速やかに病院へ。
・ワクチンは鶏卵を用いて作成されているため、卵アレルギーがある人は、ワクチンにもアレルギーを示す可能性が高くなるが、ほとんどの場合は問題なく予防接種を受けることができる。該当者は主治医と要相談。
・ワクチンを接種してから2週間くらいで、感染から身を守る免疫力が獲得できると言われている。
・ワクチンは、ウイルスは年ごとに流行する型・亜型が変わること、時間と共に一度獲得した免疫力が低下することが理由で毎年受ける必要がある。
・ワクチンは毎年10月頃から接種が可能になる。
・ワクチンの効果は一般には半年間ほど持続するので、接種を希望される人には12月上旬頃までには受けることを勧める。
・基本的には1シーズンの接種回数は1回、例外的に小児の一部では2回の接種を行うことが勧められる。
・ワクチンを打つ前にはやり始めてしまった場合も、流行が春先まで長く続く場合もあるので、希望される場合は予防接種を受けるとよい。
・日本では厚生労働省のインフルエンザ予防接種実施要領において、65歳以上の者 60歳以上60歳未満の者であって、心臓、じん臓又は呼吸器の機能に自己の身辺の日常生活が極度に制限される程度の障害を有する者及びヒト免疫不全ウイルスにより免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害を有する者 が定期予防接種(二類)の対象となっている。それ以外は任意接種という枠組み。
・ワクチンの任意接種が推奨される方
  1. 生後6カ月から18歳まで
  2. 50歳以上(特に65歳以上)
  3. 慢性の肺の病気(気管支喘息など)、心臓病(高血圧の
   みの場合は除く)、腎臓病、肝臓病、血液の病気、代謝
   系の病気(糖尿病など)、神経系・神経発達系の病気が
   持病にある
  4. 病気や治療薬の影響により免疫力が低下している
  5. 妊娠しているあるいは今冬に妊娠する予定である
  6. 長期のアスピリン治療を受けている未成年
  7. 高度の肥満(BMIが40以上)
  8. フルが重症になりやすい人との接触が多い人
  9. ワクチン接種の対象とならない6カ月以下の小児との接触
   が多い人
  10. 医療従事者
  11. 病気の特徴、ワクチンの効果・副作用について理解した
    上で予防のために接種を希望するすべての人
  (なお、CDCは2010年以降「生後6カ月以上のすべての人」
   に毎年のフル予防接種を受けることを推奨しています)
・妊婦においてもワクチンは安全性・有効性が高く、さらに、妊婦がワクチン接種を受けておくことで生まれてきた子供がかかる危険も減らすことができることが複数の研究で示されている。
・流行期に入るころ、あるいは入った後に妊娠している方は主治医と要相談。

《まとめ》

カゼ同様に、インフルエンザも、ほとんどの場合は時間とともに自然に治る病気ですが、まれに肺炎、脳症などを併発して重症化したり、時に死に至ったりする場合もあります。
インフルエンザの迅速検査は便利な検査だが万能ではありません。陰性でもインフルエンザの可能性は残ります。
インフルエンザの治癒確認目的で病院を受診し、検査を受けることは意味がありません。
「インフルエンザウイルスの増殖を抑える治療(抗インフルエンザ薬)」は、インフルエンザの症状を2日間程度短縮する効果があります。重症の患者、重症になりやすい患者には、優先的に抗インフルエンザ薬を用いますが、そのほかの場合は担当医との相談となります。
インフルエンザと診断された場合、カゼの症状がある場合は感染を拡げないために咳エチケット、まめな手洗いを心掛け、特に感染初期には登校・出社や不急の外出を控えて下さい。
インフルエンザの予防接種は国際的にはインフルエンザが重症化しやすい幼児、高齢者、持病を持つ方、妊婦などに強く勧められています。


疲れた・・・
 
YIC­Net 崎本
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