“はしか”の輸出大国から輸入大国へ?
カテゴリー:つぶやき&うんちく 2014年4月16日
麻疹(はしか)は先進国(日本は除く?)では稀な疾患となりつつあり、韓国や南北アメリカ、中東、ヨーロッパの一部ではほぼ内在性の麻疹は排除されています。

しかし多くの途上国では依然として多数の発生があり、世界で毎年2000万人が発症し、推定死亡者:2005年345,000人、2008年164,000人と減少はしていますがいまだ多くの命が失われています。

さて、日本は「麻疹輸出国」と世界各国から非難される立場でした。
麻疹の国内の患者数は2008年には、10代を中心に1万人以上にのぼったが、その後大きく減少し、以前流行していた国内常在の“土着ウイルス”: 遺伝子型D5(バンコク型)は2010年を最後に検出されていない。近年は乳幼児のワクチンの接種率も95%と高く推移しているため、国も2015年には世界保健機関WHOによる“麻しん排除”認定の取得を目指しているところですが、ここ数年問題となっているのが、外国から持ち込まれる麻疹ウイルス、輸入麻疹です。

麻疹ウイルス推移.jpg

国立感染症研究所のデータによると、2013年は1年間の患者数は232人。
ところが2014年の麻疹患者数は3月30日まで231人と昨年1年間の数字と並ぶか、それ以上の患者数になっているとの驚きのデータです。北海道でもすでに5名が発症しています。                               
年齢別では、20代が23%を占めて最も多く、以下は1~4歳が21%、30代が17%で予防接種を受けていないか、受けていても時間が経って免疫が弱まっている可能性がある若い世代が多くなっています。

1月頃まではフィリピンなど海外での感染が目立ちましたが、次第に国内感染にシフトしており、輸入された麻疹ウイルスが国内で広まっている可能性があるということです。

難しく長々と書きました。
まとめますと、今年の感染は輸入麻疹の可能性が高く、患者の半数近くは10歳未満であり、春から夏が流行期のため、さらに患者が増える恐れがあるということです。

貿易より防疫ですかね・・・。←少々無理がありますか?


麻疹はその昔「命定め(いのちさだめ:麻疹にかかったら、生きるか死ぬかわからないということ)」と言われましたが、なぜか最近では『たかがはしかと軽んじられた疾患の一つ』との傾向がうかがわれますが、感染力は非常に強く、季節性インフルエンザの6倍、昨年大流行した風疹の2倍ともいわれています。

重症化した場合、肺炎や亜急性硬化性全脳炎(SSPE)と呼ばれる1000人に1人が死亡するとされる難病があり、特に子供や高齢者は注意が必要です。
ちなみに発症すれば根本的な治療法はありません。

麻疹ワクチンを接種することで予防はできます。ワクチンを接種しておけば、かかったとしても重症になることはまずありません。

定期接種では1歳と小学校入学前に2回受けます。ただし、地域で大流行している時は生後6か月からの接種も検討されます。
また大人でもかかるので、保護者の方がワクチンを受けていないときには必ずワクチン接種をお願いしたいところです。

余談ですが・・・
北海道の2012年度麻疹・風疹予防接種率全国ランキングは35位 96.7%でした。トップは和歌山県100%、最下位は「ピンピンコロリ (PPK) 運動」で有名となった、男性の平均寿命が1位をキープしている長野県93.7%。
ということです。

           
もうすぐG­Wです!
大人の皆さんもぜひ実家に帰る機会があれば、箪笥の中に眠っている?母子手帳をみつけ、ご自身のワクチン接種履歴を確認してみてはどうですか?

 
YIC­Net 自分の母子手帳を見たことがない爺こと 山田
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