写真で見るシリーズ その1
カテゴリー:写真で見るシリーズ 2012年9月14日
sato.JPG

読者の皆さんはじめまして。佐藤と申します。
病院では、臨床検査室というところで仕事をしています。

仕事の内容は、細菌検査といって、
患者さんから提出された喀痰や尿、血液などの検体から、
感染症の元になる細菌がいるかどうか日々探しています。

ところで皆さん、細菌って見たことがありますか?。
インターネット等を介してご存知の方もいるかもしれませんが、
実際に皆さんが見る機会というのは、ほとんどないのでは
ないでしょうか。

このブログを通じて、細菌とはどんなものなのかを写真を
お見せしながらいろいろと紹介したいと思います。
内容は難しくしないで、可能な限りわかりやすいものにして
いきたいと思っています。

また、検査室という部署、病院の中でも比較的地味ですので、
皆さんにとってなじみが薄いのではないでしょうか。
このシリーズを通じて、認知度を高めていけたら
という期待も込めながら始めたいと思います。
よろしくお願いします。

なおイラストの人物はあくまでイメージとしてとらえて
頂ければ幸いです。(実際みるとがっかりします)




<その1> 腸管出血性大腸菌 O­157

最近特に話題となっているこの菌ですが、
大きさは1ミリの1,000分の1(1μm)と非常に小さいものです。
もちろん肉眼では確認できませんので、
菌に色をつけてから(染色といいます)顕微鏡でみることになります。

gram O-157.jpg

染色して顕微鏡でみると、O­157は上記の写真のように
色はピンク色に、形は楕円形や両端の丸い棒状となってみることが
できます。


DHL Full.jpg

この写真は、培地の上にO­157が発育したものです。
培地は直径約9cmで、寒天の中に菌が必要とする栄養素が
たくさん入ったものです。
ピンク色の点状に見える1個1個がO­157の集落で、
これを「コロニー」といいます。

DHL Large.jpg

拡大した写真です。
O­157のコロニーは、1個の直径は1~2mmと肉眼では
非常に小さく見えますが、このたった1個の中に
O­157が数千万から億という大変な数の菌がいます。
想像するだけでもぞっとしますね。


SIB Full.jpg

この写真はO­157専用培地に発育したO­157です。
この培地にO­157が発育した場合、写真上では薄いピンク色
として見えますが、実際は薄い灰色で1mm程度のコロニーとなり、
他の菌との区別がつきやすくなります。

ちなみに、他のほとんどの菌はピンク色のコロニーとして発育してきます。


SIB Large .jpg

拡大写真です。
繰り返しますが、実際は薄い灰色コロニー・・・・なんです


O-157 Latex.jpg

この写真は、O­157かどうかを確認するテスト結果です。
テストする菌を円の中に滴下して、その後に青い試薬を
1滴垂らして円を描くように静かに揺らします。
すると、1(左)の方がザラザラして、2(右)は
青い試薬を垂らしたときのままに変化ありません。
結果は、1はO­157陽性で2は陰性です。

この後、ベロトキシンという強毒素を産生していることが確認され、
この菌は腸管出血性大腸菌O­157とわかりました。


大腸菌といえば、私たちの便の中にいる菌の代表で
通常は無害ですが、
ひとたびベロトキシンという強烈な毒素を持つと、
時として人間を重篤化してしまうほどの恐ろしい能力を持つ
細菌に変わってしまうのですね。

O­157に感染しないよう、ここでも感染の予防対策が
重要となってきますが、
対処法は言わなくてももう皆さんおわかりですよね!。


http://hosp.town.yakumo.hokkaido.jp/modules/yic_blog/index.php page=detail&bid=113

 
YIC­Net 佐藤
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